本日の日経ネットPlusに、竹中平蔵氏が中川前財務大臣の辞任劇を分析している。中でも、中川元大臣が以前より、農林大臣時代に酔ってる状態で記者会見をするなど、そのアルコール中毒が問題になっていることを報道機関や政治家の間で広く知られたのに、それを追求することなく長く放置したことを指摘している。また、海外で「国辱的」な行動をとったとして、海外メディアが大きく取り上げた挙句、国内メディアが一斉に「横並び批判」のおかしさも主張している。さらに、コメント欄では、その背景に記者クラブ制度が報道側と権力側とを身内にして、報道機関が自分の身内に不都合なことを報道しない「取材システム上の問題」との主張が複数あった。以下は、小生が書いたコメントを紹介する(日経のサイトでは、600字制限があるが、こちらではやや長いバージョンを掲載する)。
竹中先生に同感ですし、他のコメントに基本的に異論はありませんが、「取材システム上の問題」があるとすれば、その要因も検証しなければならないと思います。その一つに「名誉毀損訴訟の恐怖」が挙げられます。
記者クラブに所属する記者たち以外にも、中川元大臣のアル中問題は少なくとも安倍内閣時代からオープンシークレットのようなもので、以前より気づいている記者や政治家は少なくないはずです。しかし、一つの報道機関だけが「お酒に酔った状態で記者会見した」と報じた場合、名誉を毀損したとして訴えられた可能性は高いと思います。竹中先生自身が大臣を勤められたときも、週刊誌に対して名誉毀損訴訟を起こし、勝利したことがあるように、よくあることです。裁判の是非はさておき(特に竹中先生の場合に関しては承知していない)、政府だけでなく、一般の企業などが名誉毀損で報道機関を訴えるケースは多いように見えます。また、雑誌に掲載された批判記事の中でコメントが掲載されているだけでその個人が起訴されるなど、言論を封印するためかと疑わせる名誉毀損訴訟も目立ちます。報道機関が過剰に訴訟を恐れていては、積極的に権力を批判しづらい環境になってしまうのではないでしょうか。逆に、みんなが「横並び批判」ができるような事件になると、大した事件でもないのに、必要以上に批判したり、怒ったりする報道も多くなり、長い間黙っていたジャーナリストたちがストレス発散しているにも見えます。決して健全的なことではないのです。
理想論ではありますが、全うな事実を報道した場合に訴訟(もしくは広告掲載拒否)などを恐れない環境になれば、必要なときに権力を批判し、責任を取ってもらう、より健全な言論空間になることを望みます。
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